歯科医院の事業承継は、開業歯科医師が必ず直面する問題です。
今まで地域で診療してきた患者さんのことも考え、歯科医院をただ閉院するのではなく、自身の後継者へ医院継続を願う院長が増加しています。

身内への事業継承=相続=事業主へ

事業承継には、自身の子供たちへの事業承継のみならず、勤務歯科医師や他の医療法人へ経営を承継するケースなど様々な方法が考えらます。
その中でも特に院長を悩ませるのは、高齢により身内の後継者へ事業承継をする時です。
手続き上は第三者への承継と同じですが、持分がある場合の医療法人であればその出資金、そして個人開業の場合であれば償却資産をどのように継承するかがポイントになります。
後継者が身内でもある子供に対し、出資金や償却資産を無償で譲渡するのであれば、贈与となり課税されることとなります。
中にはそのまま賃貸している場合がありますが、もし今の院長が亡くなられた際には相続の対象となります。
したがって、贈与・相続対策を講じておくことが、現在及び将来においての留意ポイントとなります。

ただ、問題なのはこの相続が一般的な家庭と違い、相続すると同時に事業主になるということも忘れてはいけません。

診療方針の違い

果たして勤務医でなれた子供たちが、事業主になって大丈夫なのか?
親心もありますが、きちんと事業として成り立っていけるか不安になることでしょう。

また、今までの院長の診療方針と承継する新院長の考える診療方針に違いが出るのはよくあることです。
大学や勤務医として働き経験してきたことも違えば、得意分野も違うでしょう。
さらに新院長が想定末う患者層が今までの歯科医院の患者層と異なると、患者が求める歯科医院としての姿も違ってきます。

でも、忘れてはいけないことは、今まで行ってきたことの積み重ねがあって今の医院が存在していることを新しく就任した新院長は絶対に忘れてはいけません。
旧院長と新院長のお互いの考え方を話し合い、立場やスタンスを認め合いながら身内ということで甘えず、
しっかりと理解して承継に臨むべきです。

そこで旧院長も、新院長の診療方針において、新しい患者層を取り込む為には必要な診療方針に変わる可能性があることを理解しておくことが大切です。

例えば、建物外観、待合室や診療所においても今までと違った空間づくりで患者さんから選ばれる歯科医院づくりも大切になってきます。

歯科医院の後継者問題は、どの業界でもいつかは直面する問題です。
地域の多くの患者さんに選ばれ続けていき、事業としても長く継続できるような歯科医院づくりが求められています。

TOP